常識的な話
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Living End / 死せる生
ソーサリー
待機3 ― (2)(黒)(黒)(このカードをあなたの手札から唱えるのではなく、(2)(黒)(黒)を支払うとともにそれを時間(time)カウンターが3個置かれた状態で追放する。あなたのアップキープの開始時に、時間カウンターを1個取り除く。最後の1個を取り除いたとき、それをそのマナ・コストを支払うことなく唱える。)
各プレイヤーは自分の墓地にあるすべてのクリーチャー・カードを追放する。その後自分がコントロールするすべてのクリーチャーを生け贄に捧げる。その後自分がこれにより追放したすべてのカードを戦場に出す。



Grafdigger’s Cage / 墓掘りの檻 (1)
アーティファクト
クリーチャー・カードは墓地やライブラリーから戦場に出ることができない。
プレイヤーは墓地やライブラリーにあるカードを唱えられない。



死せる生はイメージ的に墓地からクリーチャーが出てくるような気がするが。墓地からではなく追放領域からクリーチャーを場に出すのであってモダンでは割と汎用的に使われている墓地対策の墓堀りの檻では防げない。○○ポッドと呼ばれるデッキが現状あまり強くないことを考えれば、墓地対策は従来の置物or根絶系スペルが有用。



そんなニッチなデッキの話をされても・・・といわれれば、すいませんと誤ることしか出来ない。


ので、現実の墓掘りの檻のお話でも。

19世紀の英国では、医学生が医学のための解剖に使う死体が不足していた。
年間に50人程度の死刑囚の遺体。需要はその10倍以上という現実。
需要に対して供給が少ない場合、そこに生まれるのは犯罪と商売である。
つまりは悪名高き死体泥棒の黄金時代が訪れたのだ。

価値があるのは新鮮な遺体。そして生あるものに必ず訪れるものは死。
墓地に埋葬されたばかりの遺体を狙い、死体泥棒たちが暗躍していたのである。

当時の墓地には監視塔があり、夜間の見回りがある。埋められたばかりの墓を掘ることはできない。
ならばどうするか。死体泥棒たちは墓場のはるか遠方からトンネルを掘り、棺の側面から死体を取り出す。地上から見れば何も変化は無い。
20世紀の発掘調査で、遺体の無い墓がたくさん見つかった。死体泥棒たちの恐るべき手口である。

そこで当時の人々は。愛する者が死後も安らかに朽ち果てていくための知恵を絞る。それが墓掘りの檻である。墓穴を掘り、石板を置く。その板に穴が開いていて、鉄の棒や柵を下ろして、さらに石や鉄でできた板を上から乗せる。遺体が朽ちるころに、上の板と鉄棒もしくは柵をはずす。
埋葬より6週間後、遺体に商品価値がなくれば、檻も不要になる。檻は必要とする死者を守るために再利用される。
死者は檻の中でのみ安らかに眠ることが出来る時代。
鉄格子の中のみが安全な時代。陰鬱とした灰色の空の時代。

しかし、その時代はわずか数十年で終わった。法律が変わり、引き取り手のない身元不明の死体の解剖や、検体が法的に許可された。
檻は役目を終えて、霊園や教会のベンチなどに再利用された。

死者は檻に入ることなく安らかに眠ることが出来るようになったのである。

コメント

悟空
2014年6月30日3:21

すげえためになる。
ありがとうございました。

マルシェ
2014年6月30日17:59

博識おぢさん!

運び屋
2014年6月30日22:51

こういう世界観を掘り下げる話すごい好きです!

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